ソーシャルレンディングで投資判断をする際に、担保のLTVだけ見ていませんか?
LTVよりはるかに大切なのは担保が売れるかです。
いくらLTVが低くても、担保が売れなければ元本を回収できません。
それが現実となったmaneo川崎案件を例に解説します。

担保が売れないは実際にあります!
ソシャレン、クラファン、全業者リストです!

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担保が売れないが現実化したmaneo川崎案件

ソシャレンは担保が売れないと元本毀損
LTVはソーシャルレンディングの安全性を測る重要な指標です。
しかしLTVがいくら低くても、担保が売れなければ貸したお金を回収できず元本毀損になります。
つまり、最重点はLTVではなく担保が売れるかです。
プチ解説 担保とは?
プチ解説 元本毀損とは?

売れないことなんてあるの?
担保が売れない。
それが現実化したのがmaneo川崎案件です。
プチ解説 案件とは?
maneo川崎案件とは
maneo川崎案件は当時ソシャレン最大手であったmaneoが2018年に募集した案件です。
maneo川崎案件の概要

| 利回り | 5.2~6.2% |
|---|---|
| 運用期間 | 11~13カ月 |
| 募集総額 | 12億円 |
| 募集時期 | 2018年2月7日~4月6日 |
| 償還予定 | 2019年3月28日 |
プチ解説 利回りとは?
プチ解説 運用期間とは?
2カ月に渡り103回に分けて募集が行われ、総額12億円が集められました。
利回りの違いは返済順位によります。

どういうこと?
利回りが低いほど返済の優先順位は上でした。
借り手が返済できず、担保処分で5億円だけ回収できた場合、5.2%と5.4%の案件に投資した人には、元本全額が償還されます。
| 返済順位 | 利回り | 募集額 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 5.2% | 2億円 |
| 第2順位 | 5.4% | 2億円 |
| 第3順位 | 5.6% | 2億円 |
| 第4順位 | 5.8% | 2億円 |
| 第5順位 | 6.0% | 2億円 |
| 第6順位 | 6.2% | 2億円 |
プチ解説 借り手とは?
プチ解説 償還とは?
5.6%の人は半分だけ償還、5.8~6.2%の人は元本全損です。
利回りが高いほど、万が一の場合のリスクが高い案件でした。
プチ解説 全損とは?

当時はこのパターンがよくありました!
担保のLTVは安全ラインの75%
担保は川崎市の病院跡地です。
- 所在:川崎市麻生区
- 土地:13,400㎡
- 建物:2,000㎡
maneoの評価額は16億円、融資額12億円に対するLTVは75%。
当時は80%が安全の目安とされていたので、LTV的には問題ない案件でした。
リクレへの貸付はノンリコースローン
川崎案件ではグループ会社のmaneoマーケットが募集を担当し、集まった12億円をmaneoが関連会社のリクレに貸します。
そして、リクレが不動産事業者のCU社に対して、病院を担保に12億円を貸しました。
| 募集 | maneoマーケット |
|---|---|
| ↓送金 | |
| 貸し手 | maneo |
| ↓貸付 | |
| 借り手 | リクレ |
| ↓貸付 | |
| 最終借り手 | CU社 |
ここでのポイントはmaneoからリクレへの貸付が、CU社への融資事業を返済原資とするノンリコースローンであったことです。
CU社がリクレへ返済できない場合、リクレはmaneoに返済する必要はなく、maneoはリクレの資産から強制回収することはできません。

ノンリコは怖いよ。
運用開始と同時に利払いが滞る
初回から利息を不払い
CU社はリクレに利息を毎月支払い、それを受け取ったリクレがmaneoに利息を毎月支払います。
そしてそれを原資にmaneoが投資家に分配を毎月行う予定でした。
しかし、初回となる2018年5月25日の利息の支払いをCU社は行わなかったのです。

いきなり不払い!
リクレが利息を立て替え
これに対してリクレはCU社の利息を立て替える形で、maneoへ利息を支払いました。
上述の通りリクレからmaneoへの返済は、CU社への融資事業を返済原資とするノンリコースローンです。
CU社が利払いを行わない以上、リクレにはmaneoへの利払いの義務はありません。
しかしリクレは担保には20億円以上の価値があり、担保の売却で立て替えた利息の回収は可能と判断。
CU社の不払いをmaneoには伝えず、担保の売却活動を開始したのです。
担保が売れないが現実化
利息の不払いが続く
6月以降もCU社からリクレへの利息の支払いは行われませんでした。
このため、リクレは9月まで5回に渡り、maneoへの利払いの立て替えを続けました。
| 支払期日 | CU社 | リクレ |
|---|---|---|
| 5月28日 | 不払い | 立て替え |
| 6月28日 | 不払い | 立て替え |
| 7月30日 | 不払い | 立て替え |
| 8月28日 | 不払い | 立て替え |
| 9月28日 | 不払い | 立て替え |
担保の売却は進まず
一方、担保の売却は一向に進まず。
理由は担保の条件が悪かったことにありました。
- 最寄り駅から徒歩10分
- 山林の中腹に立地
- 傾斜地も含まれ利用できる面積が狭い
- 市街化調整区域に立地
- 病院跡地のため土壌汚染で残土処理などコストアップ
リクレが利息の立て替えを停止
CU社は続く10月分の利息も支払いませんでした。
リクレがCU社の利息を立て替えたのは、担保の20億円での売却で立て替えた分を回収できると見込んだからです。
しかし、どう考えても20億円での売却は不可能。
窮地に追い込まれたリクレは、10月29日分のmaneoへの利払いを停止したのでした。

ギブアップした…
maneoが分配の延滞を発表
上述の通り、maneoはリクレから受け取る利息を原資に投資家に分配金を払っていました。
リクレから利息を受け取れなくなった以上、投資家に分配することはできません。
リクレの利払い停止を受け、maneoは2018年11月1日に今後の分配が延滞することを発表したのでした。

分配が止まった…
担保の売却はさらに難航
競売でも売れず
その後も担保の売却活動を進めたリクレですが、任意売却を諦め2018年12月に競売にかけました。
しかし、競売でも担保は売れず。
川崎案件の予定償還日をすぎた2019年6月の競売では、5億円強の基準価格に対して入札はありませんでした。
| 時期 | 事項 |
|---|---|
| 2018年2~5月 | 川崎案件募集 |
| 2018年5月28日 | CU社利払い不履行 |
| 2018年10月29日 | リクレ利払い不履行 |
| 2018年11月1日 | maneo延滞発表 |
| 2018年12月 | 競売不調 |
| 2019年3月28日 | 川崎案件予定償還日 |
| 2019年6月 | 競売不調 |
特別売却でも売れず
2019年7月には基準価格なしで先着順の特別売却が行われました。
しかし、ここでも買い手は現れず。
担保の売却はさらに難航するのでした。
訴訟に突入
年が明けて2020年に入り、maneo側はCU社に対して貸金返還請求訴訟を提起します。
CU社は出廷せずmaneo側の勝訴が確定しましたが、CU社は一切の対応を行いませんでした。
maneo側は裁判所にCU社の破産申立を申請し、2020年7月に破産手続きが開始。
この間もリクレの売却活動は続きました。
担保が売れるも10億円の投資家被害
4年後にようやく担保売却
事態が動いたのはそれから2年が経った2022年9月です。
maneoが担保の売却完了を発表。
2018年11月の延滞発表から4年かけて、ようやく終戦となったのです。

が、しかし…
大半の投資家が元本全損に
担保は売れたものの売却価格は1.3億円。
担保評価額の16億円はおろか、出資総額の12億円にもまったく届かない金額だったのです。
その結果、元本が償還されたのは第1順位の案件に出資した投資家だけ。
それも出資2億円に対して7割足らずの1.3億円の償還なので、3割強の元本毀損です。
| 返済順位 | 利回り | 募集額 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 5.2% | 2億円 |
| 第2順位 | 5.4% | 2億円 |
| 第3順位 | 5.6% | 2億円 |
| 第4順位 | 5.8% | 2億円 |
| 第5順位 | 6.0% | 2億円 |
| 第6順位 | 6.2% | 2億円 |
そして、第2順位以下の投資家は全員元本全損。
maneo川崎案件は10億円を超える投資家被害という、悲惨な形で幕を閉じたのでした。
ソシャレンの最重点は担保が売れるか
担保が売れなければ元本毀損
担保が売れないのは仮定ではなく現実のリスクです。
そして売れない場合、二束三文で買い叩かれて元本毀損になる可能性が高い。
それが最悪の形で現実化したのがmaneo川崎案件でした。
売れる担保なのか要チェック
業者サイトに書いてある担保評価額は、売れた場合の価格にすぎません。
売れなければ担保の価値はゼロです。
その担保は本当に売れるのか?
買い手が現れるような担保なのか?
LTVだけ見て終わりではなく、担保が売れるかよく考えた上で投資判断をしましょう。

担保が売れないはあり得ます!



















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