現時点で今年最大の倒産となった全東信。
オルタナバンクとバンカーズの融資先となっていました。
全東信案件は今後どうなるのか?
これまでの経緯と今後の見通しをまとめます。

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タップできる目次
全東信案件のまとめ

全東信倒産の経緯と現状
全東信とは?
全東信はクレジットカードの決済代行業者です。

飲食店で客がクレジットカードで支払った場合、カード会社から飲食店への支払いは2週間から1カ月後になります。
材料費や人件費などコストは発生しているのに代金が1カ月も入ってこない。
それでは資金繰りが厳しい飲食店もあります。

仕入れができないよね。
そこで全東信がカード会社に代わって飲食店に早めに支払って上げる。
その代わりに飲食店から手数料をもらうという商売をしていました。

全東信はあとでカード会社から受け取る。
飲食店への影響
全東信は7月6日に自己破産を申請し倒産しました。
負債額は1,151億円で現時点で今年最大の倒産となっています。
全東信の倒産が飲食店に与える影響ですが、まず売上を受け取れないことです。
全東信は5日分の売上を5日後に飲食店に支払うといったサービスを提供していました。
例えば、7月1日~5日までの売上を7月10日に支払います。

全東信が倒産したため、飲食店はこの5日分の売上を受け取れなくなりました。
全東信との契約内容によっては2週間分の売上を受け取れない飲食店もあるようです。
もう一つの影響は今後のカード利用です。
全東信はVISAなどのカード会社と業務提携しており、全東信のシステムを利用することで飲食店は間接的にカードを利用できます。
そしてそれらの飲食店の多くは、通常のカード会社の審査では通らないような水商売や小さな飲食店などでした。
全東信が倒産したことでこれらの店舗が今後カードを利用できなくなる可能性があります。

客の利便性が低下か。
金融機関への影響
飲食店よりはるかに影響が大きいのが金融機関です。
上述の通り全東信はカード会社から代金を受け取る前に飲食店に支払います。
その飲食店に支払う資金の多くを、全東信は金融機関からの融資で調達していたのです。
融資していたのは63の金融機関で、その総額は1,130億円にのぼります。(出典:朝日新聞)
そしてその中にオルタナバンクとバンカーズが含まれていたのです。
| 金融機関 | 債権額 |
|---|---|
| 近畿産業信用組合 | 219.9億円 |
| 東京スター銀行 | 80億円 |
| 東和銀行 | 80億円 |
| 山口銀行 | 74.9億円 |
| 大阪厚生信用金庫 | 68.3億円 |
| ハナ信用組合 | 45億円 |
| 北おおさか信用金庫 | 40億円 |
| 成協信用組合 | 34.7億円 |
| 第一勧業信用組合 | 29億円 |
| 三十三銀行 | 22億円 |
| 関西みらい銀行 | 21億円 |
| バンカーズ | 20.7億円 |
| あすか信用組合 | 20億円 |
| 朝銀西信用組合 | 19億円 |
| 百十四銀行 | 18.5億円 |
| ミレ信用組合 | 18億円 |
| きらぼし銀行 | 15億円 |
| 大光銀行 | 15億円 |
| マイナビブリッジ | 15億円 |
| KEBハナ銀行 | 12.8億円 |
| 愛媛銀行 | 12.4億円 |
| 永和信用金庫 | 12億円 |
| 高知銀行 | 12億円 |
| 伊予銀行 | 11.4億円 |
| 大同信用組合 | 11億円 |
| 横浜幸銀信用組合 | 11億円 |
| イオ信用組合 | 11億円 |
| 四国銀行 | 10.8億円 |
| みなと銀行 | 10億円 |
| 枚方信用金庫 | 9.9億円 |
| JA三井リース | 9億円 |
| イオン銀行 | 8.8億円 |
| 静岡銀行 | 8.6億円 |
| 千葉興業銀行 | 8億円 |
| 信用組合広島商銀 | 8億円 |
| 島根銀行 | 8億円 |
| 大阪協栄信用組合 | 7.5億円 |
| 京滋信用組合 | 7.3億円 |
| 信用組合愛知商銀 | 7億円 |
| 大阪商工信用金庫 | 6億円 |
| 佐賀銀行 | 6億円 |
| オルタナバンク | 6億円 |
| 南都銀行 | 5億円 |
| 宮崎銀行 | 5億円 |
| 兵庫ひまわり信用組合 | 5億円 |
| 福岡ひびき信用金庫 | 4.5億円 |
| 韓国産業銀行 | 4億円 |
| 十六銀行 | 4億円 |
| 東信用組合 | 4億円 |
| 神戸信用金庫 | 3億円 |
| 但馬銀行 | 3億円 |
| 鳥取銀行 | 3億円 |
| 栃木銀行 | 3億円 |
| 中ノ郷信用組合 | 3億円 |
| 京都中央信用金庫 | 3億円 |
| 江東信用組合 | 2億円 |
| 肥後銀行 | 1.5億円 |
| 中国銀行 | 1.5億円 |
| 中央信用組合 | 1.1億円 |
| トマト銀行 | 1億円 |
| 静岡中央銀行 | 1億円 |
| 全東栄信用組合 | 1億円 |
| 神奈川銀行 | 0.5億円 |

ソシャレンからも調達…
全東信案件の詳細
オルタナバンクの全東信案件
オルタナバンクで借り手が全東信だったのは、2025年7月から2026年2月に募集された以下の6案件です。
| 案件名 | 利回り | 運用期間 | 調達額 |
|---|---|---|---|
| クレカ決済 ID889 | 6.5% | 12カ月 | 11,000万円 |
| クレカ決済 ID918 | 6.5% | 12カ月 | 14,980万円 |
| 国内分散 ID943 | 5.5% | 8カ月 | 9,135万円 |
| クレカ決済 ID991 | 5.0% | 5カ月 | 9,905万円 |
| クレカ決済 ID992 | 6.5% | 11カ月 | 14,548万円 |
| クレカ決済 ID1006 | 5.0% | 5カ月 | 5,095万円 |
プチ解説 借り手とは?
プチ解説 案件とは?
プチ解説 利回りとは?
プチ解説 運用期間とは?
調達額の合計は5.5億円ですが、ID943は全投信以外の借り手を含みます。
その分、融資額は減るはずですが、前掲の朝日新聞の記事ではオルタナバンクの債権額は6億円となっていました。
バンカーズの全東信案件
バンカーズの全東信案件は2025年6月から2026年4月に募集された以下の20案件です。
| 案件名 | 利回り | 運用期間 | 募集額 |
|---|---|---|---|
| クレカ決済2-6 PR_4203 | 5.0% | 12カ月 | 15,000万円 |
| クレカ決済2-7 PR_4215 | 5.0% | 12カ月 | 15,000万円 |
| クレカ決済2-8 PR_4228 | 5.0% | 12カ月 | 15,000万円 |
| クレカ決済2-9 PR_4246 | 5.0% | 12カ月 | 15,000万円 |
| クレカ決済2-10 PR_4254 | 5.0% | 12カ月 | 15,000万円 |
| クレカ決済2-11 PR_4262 | 5.0% | 12カ月 | 20,000万円 |
| クレカ決済2-12 PR_4279 | 5.0% | 12カ月 | 20,000万円 |
| クレカ決済2-13 PR_4294 | 5.0% | 12カ月 | 20,000万円 |
| クレカ決済2-14 PR_4306 | 5.0% | 12カ月 | 10,000万円 |
| クレカ決済2-15 PR_4319 | 5.0% | 12カ月 | 12,500万円 |
| クレカ決済2-16 PR_4333 | 5.0% | 12カ月 | 5,000万円 |
| クレカ決済2-17 PR_4346 | 5.0% | 12カ月 | 15,000万円 |
| クレカ決済2-18 PR_4358 | 5.0% | 12カ月 | 6,000万円 |
| クレカ決済2-19 PR_4371 | 5.0% | 12カ月 | 9,000万円 |
| クレカ決済2-20 PR_4381 | 5.0% | 12カ月 | 9,000万円 |
| クレカ決済2-21 PR_4395 | 5.0% | 12カ月 | 5,000万円 |
| クレカ決済2-22 PR_4401 | 5.0% | 12カ月 | 5,000万円 |
| クレカ決済2-23 PR_4421 | 5.0% | 12カ月 | 5,000万円 |
| クレカ決済2-24 PR_4434 | 5.0% | 12カ月 | 5,000万円 |
| クレカ決済2-25 PR_4452 | 5.0% | 12カ月 | 5,000万円 |
総額は25.65億円ですが、朝日新聞の記事ではバンカーズの債権額は20.7億円となっています。
バンカーズは募集額しか公表していないので、もしかしたら満額集まらなかった案件があるのかもしれません。

戻ってくるのかな…
全東信案件の今後の見通し
破産手続きの流れ
7月6日の大阪地裁の決定を受けて、全東信の破産手続きが始まりました。
破産手続きではまず破産管財人が全東信の資産をすべて現金化します。
その現金は最初に破産管財人の報酬、税金、社会保険料、従業員の未払賃金などに充てられます。
そして残った現金がオルタナバンクやバンカーズを含む債権者に配分される流れです。

戻ってくる?!
全東信には粉飾決算の疑いが浮かんでおり、600億円の債務超過との報道もあります。
また、SNSでは全東信が残っていた現金を飲食店に支払ったあとに破産しており、現金は残っていないとの情報もありました。
オルタナバンクやバンカーズが融資を回収できるだけの資産は残っていない可能性が高いのではないでしょうか。

担保で回収は?
プチ解説 担保とは?
オルタナバンクの全東信案件
オルタナバンクの全東信案件は少し複雑な仕組みです。
投資家から集めた資金をオルタナバンクはグループ会社であるSAMURAI ASSET FINANCE(以下、SAF)に貸し、SAFが全東信に又貸ししています。
担保ですがオルタナバンク→SAFではSAFが持つ全東信への貸付債権にオルタナバンクが質権を設定しています。
しかし、全東信に返済能力はありませんので、この質権で融資を回収することはできません。
では、オルタナバンクがSAFから回収することはできるのか?
これは案件によります。

違いがあるの?
全東信案件6案件の内、クレカ決済5案件でオルタナバンクからSAFへの貸付はノンリコースローンです。
SAFがオルタナバンクに返済する原資は、SAFが全東信から回収した資金に限られます。
全東信から回収できた場合に限り、SAFはオルタナバンクに返済するということです。
よって、全東信がSAFに返済できない場合、SAFがオルタナバンクに返済する義務はありません。
| 案件名 | 種別 |
|---|---|
| クレカ決済 ID889 | ノンリコースローン |
| クレカ決済 ID918 | ノンリコースローン |
| 国内分散 ID943 | リコースローン |
| クレカ決済 ID991 | ノンリコースローン |
| クレカ決済 ID992 | ノンリコースローン |
| クレカ決済 ID1006 | ノンリコースローン |
一方、国内分散案件でオルタナバンクからSAFへの貸付はリコースローンです。
全東信からSAFへの返済の有無に関係なく、SAFはオルタナバンクに返済する義務を負います。
| 案件名 | 種別 | SAFの返済義務 |
|---|---|---|
| クレカ決済 | ノンリコース | なし |
| 国内分散 | リコース | 有 |
ではこの違いが投資家の元本回収にどう影響するのか?
オルタナバンクが7月13日に出した「株式会社全東信の破産手続開始に関するお知らせ(第3報)」に明確に書かれています。
ノンリコースの建付けとなっているファンドにつきましては、分配・償還に重大な影響が生じる見込みです。
ID943(リコース)につきましては、現時点では、当初予定していた運用期間のとおりに償還を進める予定です。
ノンリコースは重大な影響、リコースは予定通り。
以上より、オルタナバンクの全東信案件の見通しは次のようになります。
| 案件名 | 見通し |
|---|---|
| クレカ決済 ID889 | 厳しい |
| クレカ決済 ID918 | 厳しい |
| 国内分散 ID943 | 予定通り償還 |
| クレカ決済 ID991 | 厳しい |
| クレカ決済 ID992 | 厳しい |
| クレカ決済 ID1006 | 厳しい |

全損の可能性も…
バンカーズの全東信案件
次にバンカーズですが全東信案件はすべて無担保です。
全東信の代表者による連帯保証が付いていますが、倒産会社の社長に返せるわけがありません。
情況はかなり厳しいと思います。
全東信案件の教訓
最後に今回の一件から学ぶべきことです。
借り手の調査は必須
全東信は2024年に加盟店契約の審査における不正で社員が逮捕され、のちにその不正が会社ぐるみであったことが発覚し組織犯罪処罰法違反の疑いで書類送検されています。
過去の不正と返済能力とは必ずしも関係しませんが、このことを知っていれば全東信案件への投資を思いとどまったかもしれません。
「全東信 不祥事」などで検索すればすぐに出てくる情報ですので、やはり借り手の調査はしっかりやるべきです。
特にオルタナバンクですが最終の借り手がどういう企業なのか確認していない人が多いのではないでしょうか?
無担保はハイリスク
全東信案件ではオルタナバンク、バンカーズともに全東信に対する貸付は無担保でした。
いざこういう事態に陥った時に、無担保では融資を回収するすべがありません。
やはり無担保はハイリスクです。
そんな案件の利回りが5%。
リスクとリターンは見合っていたのか疑問です。

見合わないよね…
業者を過信しない
今回の件では貸し倒れになるような借り手にオルタナバンクとバンカーズが貸したことになります。
このことについて両社の審査の不備を指摘する声がありますが。
あるべき論ではなく現実論として、ソシャレン業者の審査体制、審査能力が地方銀行より優れているとは考えにくいです。
地銀が引っかかるのであれば、ソシャレン業者が引っかかってもおかしくありません。
もちろん、引っかかってもおかしくないことと、引っかかったことが許容されるかとは別の話です。
しかし、言い方は悪いですが所詮はソシャレン専業の中小企業なわけで、業者の出す案件が必ずしも安全だとは限りません。
繰り返しますがあるべき論ではなく現実論として、ソシャレン業者に過度な期待を持つべきではないでしょう。
ソシャレンは貸し倒れ前提で
これは基本中の基本ですが、ソシャレンで借り手が100%返済できる保証はありません。
である以上、ソシャレンの投資判断は借り手が返済不能になることを前提に行うべきです。
全東信が返済できなくなる可能性がある。
それを前提にするならば、無担保の案件に投資するという選択はありえません。

貸し倒れ前提で考える。
少しでも戻ってくることを期待して
以上、全東信案件についてまとめました。
現在分かっている範囲では楽観できる情況ではなく、最悪を想定したかなり厳し目の見通しで書いています。
とは言え、投資家にできることは待つことだけであり、悲観して待っても楽観して待ってもいずれ出る結果は同じです。
僕も過去に遅延を食らったことがありますが、結果が同じであるならば少しでも戻ってくることを期待して待つほうが良いのではないでしょうか。

望みはゼロではないです!



















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