昨年9月から不動産クラファン協会で「自主規制ルール検討会」が進められてきました。
その成果物である「募集チェックリスト」が完成し、4月から運用が始まります。
昨年からトラブルが続く不動産クラファン業界の健全化への第一歩が踏み出されました。
詳しく解説します。

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チェックリストの内容と期待

チェックリスト作成の背景
国土交通省検討会
みんなで大家さん、ヤマワケエステートなど不動産特定共同事業で続くトラブル。
これらへの対処が急務となり、国土交通省は昨年4月に「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会」を立ち上げました。
プチ解説 不動産特定共同事業とは?
以降、2回の検討会を経て8月に公表されたのが「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての中間整理」です。

役所系はムダに名前が長いw
自主規制ルール検討会
この中で「業界団体における投資家への情報提供等に関する自主ルール・規制の導入の検討」が求められました。
トラブルが起きないように業界でルールを作ってくれということです。
このルールを業界団体である不動産クラファン協会が作ることになり、昨年9月から3回に渡り「自主規制ルール検討会」が開催されました。

僕はこの検討会に委員として参加しており、意見書なども提出しています。


最後の検討会が3月に行われ、同月27日に協会から発表されたのが「不動産特定共同事業に係る商品募集画面のチェックリスト」(以下、チェックリスト)です。

チェックリストとは?
チェックリストは募集画面に記載する項目の指針です。
4月から運用が始まり、今後はこれに準拠した記載が求められます。
案件のリスクなどが投資家にちゃんと伝わるように記載しなさいよ!ということです。
では、どんな項目がどのように記載されるようになるのか?
詳細はチェックリストを見てもらうとして、以下に主なものを紹介します。
プチ解説 案件とは?
チェックリストのポイントを紹介
分配金に関する情報
募集画面に以下を明示することが求められます。(以下同)
- 分配金の原資
- 利回りの実現性を示す根拠
- 物件特有のリスク要因(空室率、賃料下落リスク、開発遅延など)
- 想定売却価格の根拠(鑑定評価額等又は近傍類似取引事例)
プチ解説 分配金とは?
プチ解説 分配金の原資とは?
プチ解説 利回りとは?
物件の運用でどうやって利益を出して投資家に分配するのか明示しなければならない。
逆に言うと明確に説明できない案件は募集できないということです。
売却価格の根拠も明示が必要になります。

いい加減な案件は出せない。
商品の類型に関する情報
- 融資の有無
- 特殊な商品(コンテナ型・蓄電池施設等)は、商品説明とともに特有のリスクについての具体的な説明
銀行融資があることを成立前書面にだけ書いて募集ページには書かないといったインチキはできなくなります。
特殊な物件について今後は投資家が気づきにくいリスクの明示が必要です。
プチ解説 成立前書面とは?
利害関係者取引に関する情報
- 人的支配関係(役員の兼任、主要株主が同一等)を含む利害関係取引の有無
- 契約内容、取引価格、賃料水準、報酬等が通常の取引慣行や実勢価格と比して妥当な水準であること
業者が3億円の案件を募集し、グループ会社が1億円で仕入れた物件を3億円で取得します。
そして運用期間の最後に物件を別のグループ会社に1億円で売却。
「誠に遺憾ながら1億円でしか売れませんでした。2億円の元本毀損です、ゴメンちゃい!」とすれば、業者は2億円ゲットできますよね?

詐欺じゃん!
プチ解説 業者とは?
プチ解説 運用期間とは?
プチ解説 元本毀損とは?
そういう詐欺をやろうと思えばできてしまうのが今の不特事業です。
これを防ぎます。
マスターリースに関する情報
- マスターリース賃料の水準が市場賃料と比較して妥当か、乖離がある場合はその説明
プチ解説 マスターリースとは?
グループ会社が相場より高い賃料でマスターリースして分配金を出す。
こういった無理は投資家にとってリスクになります。
再募集案件に関する情報
- 再募集であること
- 元の案件の募集条件や募集状況及び償還状況
- 再募集の理由
- 過去に償還済の場合は新たな資金使途
- 再募集に伴い変更された事業計画・資金計画の内容
プチ解説 償還とは?
運用期間1年でマンションを新築し売却する計画だったが、運用期間中に売却できなかった。
そこで、マンションを賃貸しながら売却を狙う新しい別の案件として募集する。

こういう案件あるよね。
最初の1年で売れなかったのですから、次も売れない可能性があります。
こういった再募集案件について詳細な情報の明示が必要です。
事業計画に関する情報
- 対象不動産の住居表示又は地図による図示
- 実行スケジュールや想定リスク
- 対象不動産に関して不特事業者が有する権利(所有権・借地権・地上権など)
- 物件取得以外の項目を含めた出資金及び借入金の使途
- 出口戦略
- 募集開始時期、出資金払込時期、運用終了から償還までの期間など、出資金の取扱スケジュール
プチ解説 出口戦略とは?
物件の所在地や投資家から集めたお金の使い道など、募集時に示さない業者がありますが、今後は明示が求められます。
出口戦略やスケジュールの明示も今後は必須です。
開発案件に関する情報
- 開発遅延、中止などの事業計画に変更等が生じるリスク
- 計画変更を行う場合の情報開示や手続きの方法
- 開発計画(工事着工・完了予定日等)
- 開発許可の取得状況(取得日等)
- 売却予定時期等
- 確認申請の状況、現況の写真、工事スケジュールの概要、パースなど
- 進捗状況を写真などで適時公表する旨
更地にゼロから不動産を作る開発案件に関するルールです。
これでいい加減な計画の開発案件を出しにくくなります。
最後の適時公表は運用期間中に進捗を報告しなければならないということです。
情報の開示についての注意事項
- 物件概要を公開後に募集開始まで十分な検討時間を確保する必要があること(3日以上)
- 該当する記載の箇所への誘導を工夫すること(リンクの設定や「成立前書面〇条記載」「〇頁に詳細記載」等)
これ、僕が8年前からずっと訴えてきたことです。
今後は募集開始3日前までに案件の公開が必要になります。
前日公開や公開と同時の募集はできません。

素晴らしい!
法令にも改正が
施行規則が改正される
今回のチェックシート運用開始に関連して、不動産特定共同事業法施行規則が改正されます。
4月25日までパブリック・コメントを募集中です。
チェックシートの内容を反映
この改正にはチェックシートの内容が反映されています。
一例を紹介しますと…
(成立前書面への記載事項の追加)
・利回り等の根拠となる不動産取引の内容・額及びその取引が行われたことの根拠又は行われると見込まれる根拠等
・対象不動産の価格が妥当なものであることを説明するために必要な事項等
・出資された金銭の使途
チェックシートの内容と同じですよね?

法令にも反映された。
まさか法令が変わるとは!
商社でもコンサルでも就職先は選び放題なのに、あえて国家と国民のために働くという選択をする官僚を僕は本心で尊敬しています。
しかし一方で、どうせお上は下々の声なんて知らんぷりなんだろうなと。
今回の件も協会にルール作りを投げて役所は責任逃れをするのだろうと、冷めた気持ちを持っていました。
それだけに法令の改正は想定外の喜ばしいことで、それに爪の先ほどですが携われて良かったと思います。
今後に期待
協会会員に義務化
今回制定されたチェックリストは4月から運用が開始されます。
4月時点ではチェックリストの遵守は任意ですが、試行期間を経て協会会員業者に義務化される予定です。
遵守業者を差別化
また協会ではチェックリストを遵守していることを示す認証マークを制定し、遵守している業者のサイトに掲示することを検討しています。
実現すれば認証マークの有無が業者のクリーンさの証となり、マークなし=問題あり業者と見分けることが可能になるでしょう。

業者選びの材料になる。
最初の第一歩に期待
今回のチェックリストと法令の改正は十分なものとは言えません。
協会会員以外の業者に強制力がないという大きな問題もあります。
とは言え、最初から完璧を求めていては何も変わりません。
不完全でもまずは立ち上げ、走りながら完成度を高めていくべきです。
チェックリストについては今年の8月と年末に見直しを行うことがすでに決まっています。
小さいかもしれませんが第一歩が踏み出されました。
今後の不動産クラファンの健全化に期待しましょう。

一歩前へ!


















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